恋人/森川美咲
かつて恋した人に会える
年に一度の特別な日
もう二度と
ふれあうことはなくても
恋しい恋しい人
許されない恋だったから
別れはすぐに訪れた
終わらないままに
引き裂かれた恋だった
それでも年に一度会えるのは
神様の温情か
はたまた天使の悪戯か
私の瞳の中に
紅蓮の炎が燃え盛っていたうちは
話しかけてももらえなかった
それでもよかった
わざと反らした貴方の瞳の中に
あかあかと残り火が
私にもちゃんと見えたから
いつしか何もなかったように
言葉を交わせるようになり
それでもやはり貴方は特別な
恋しい恋しい人
気づけば必ず貴方から
声を
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