黄色いキャロルのクマ/オダ カズヒコ
駅前に黄色のキャロルを路上駐車するとクマは
ポンっとドアを叩きつけ 身軽に外へ出た
わたしは険しくなってる顔を 上げないよう
キュロットの裾を握りしめた
1時間もよ!
「待った?」
「ううん」
「ヨシっ 乗った!」
そう言ってクマは わたしの背を乱暴に押すと
キャロルの助手席に押し込んだ
クマはスーツのポケットから指輪を取り出して
さっきから 弄んでいる
彼が 夜の海に向かっているのがわかった
高速に乗るとすぐに
窓を開け放ち
彼はその指輪をポイっと
海の向こうにむかって
窓の外へ思い切り指輪を投げ捨てた
たぶん・・・
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