島の女/オダ カズヒコ
砂糖黍畑の間を
女と歩いた思い出がある
二車線の道路に
茶や緑の葉っぱがせり出し
そよいでいる
陽光に放たれたその道は
とても荒れていた
一時間歩いても
車は通らなかった
サングラスを外したぼくは
女に言った
戻ろうよ
待ってもう少し
一時間だぜ
時計を見た
もうすぐ東シナ海だから
汗が頬を伝う
女は
町で働いていた
いわゆるホステスだ
昔は農協で働いていたの
声を潜めるように言った
あぁ農協な
面倒なところだ
女は眉間に皺を寄せた
夜の女の
言葉は信用ならない
昼間食べたソーキそばが
腹に
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