川口晴美詩集『lives』を読んでみた/光冨郁也
テル」の意味は不明。
画面の中から伝わるうっとおしい暗さはあるものの、それはうっくつした思春期の心象を象徴するものだと思う。過激な内容はでも現在では珍しくもない。自分の少年時と比べてもあり得ることだった。わたしは主人公の少年にある程度共感できる。
ただわたしにカリスマ的存在はいらない、というところがこの少年と違う。わたしはわたしの「リリィ・シュシュ」に出会ったことがない。他者を通して解放されたいとは思わない。
「僕にとってリリィだけがリアル」という感覚は持ったことがない。宗教に近い「リリィ」の神格化のよう。興味深い作品だった。嫌いではない、わかるような気がする。
(2003.4記)
*この文はもう一、二年も前に書いたもので、自分のHPに掲載していたもの。
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