鴉/陽向
……
鴉は草むらの方へ入っていった
僕は何を見たのだろうか あんなに苦しんでいる鴉を見て 僕は何を思っただろうか
そうこうしている内にも 時間と共に 僕は鴉を忘れて自分を取り戻す
夢 など考え始める 現実 など考え始める 虚しさ など考え始める
鴉のことを心配していた自分はとっくにいなくなっている
「助けてあげた方がよかったか…?」
頭が発した言葉 心は面倒がっている
「助けなくては!」
鴉はいなかった 鴉はどこにもいなかった
心は安堵のため息をつく 用事が増えるのが面倒だからだ 車が汚れるからだ
……
罪悪感
未だに助けようと思
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)