愛について/馬野ミキ
オナニーをしても
すっきりせずもやもや気分続行で報われないのは
本当は
たった一人の人を探しているからじゃないだろうか
仮に
宇宙が無だとするのなら
地球は有であり
俗世だ
絶え間ない雑音でありある種の混乱だ
有ということの特徴は
自分以外にも存在がいるということだ
これはついつい当たり前でスクランブル交差点辺りでは思わず見逃しがちなんだけれど
死んでみたらわかる あの耐えられないほどの静けさ
いかにこの世界がうるさくてうっとおしくて邪魔者が多くて面倒くさくて疲れて果てて
だけれど温かいかということを。
沢山の女とやりたいと思う
けれどもそれは本当は二番目に大切なことなんじゃないだろうか
一番にほしいものについて
それがまるで大前提であるかのようにあきらめているからではないだろうか
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