ナニカ/草野大悟2
言うとおりだ。でもね、おまえ達を助けたい、と心の底から思っていることだけは分かって欲しい」
二人は、黙ったまま、怒ったような顔をして野津を見つめていた。
この日はそれだけで終わった。野津は、認めてくれるまで何回でも話し合うと心に決めていた。幸い、仕事は定時に終わる。いじめが片付くまで酒は飲まない、そう決心した。髭を剃り、きちんとアイロンがけしたワイシャツと皺のない背広で出勤するようになった。
「お父さん、最近なんか前みたいにスッキリしてきたね」
帰宅した野津にしのぶが声をかけた。
「そうかな? あんまりみっともない格好を続けるわけにもいかないからね」
「昨日ね、優太兄ちゃんが、お
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