すがすがしさとはまた違う、小さな風が吹きさった屋上の物語/チャオ
拘束された時間から開放され、外に出る。
すでに暮れた空が広がっている。
目の前にあった光は失われて、そこには確かな闇があった。
すがすがしさとはまた違う、冷ややかで繊細な風が吹く。
周りには一人もいない。
喧騒の町並みの中で思う。
寂しさが逃げ出す街のイルミネーションに、
激しい歌声でつばを吐いたのはいつだったろう!
永遠に輝かせるはずのあの美しさは、幼少の頃のゴールデンタイムにかき消されたホームランと一緒に消えていったようだ。
華やかな人ごみが、街の誘惑を誘うだろう。
暖かな食卓の幻想に今日も夢見て、追われる幻想の果て。
願望も欲求も、時間とともに汚く汚れていく。
避ける
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