リュウグウノツカイ/智鶴
 
奏でるんだね
求める世界は美しく鮮やかで
平和な街で幸せに暮らしたお姫様
代償も無く手に入れた自由と
その歌声で囁く理想郷

君の描いた姿じゃないよ
僕はそんなに美しくない
怪物のような鏡の色をした体を持て余して
君を求めれば壊してしまうだろう
その歌声が奏でる夢みたいに
抱きしめることなんて出来やしない

白い波と暗く美しい水面に
眩しい月が映し出す幻影に紛れて
君を惑わすことを願いながら
艶やかな誘惑は決して僕を狂わせない

届かない
君の歌声に僕の姿など
美しい星空に慕われた君の浅はかな理想を願いながら
もう一度、
冷たい海へ帰ろうか

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