リュウグウノツカイ/智鶴
 
空が見たかった
キラキラと差し込む光を
それを愛おしげに眺める君を
もっと鮮やかに見てみたかった
気付けば世界は薄く眩しく歪み始めて
もう、何処に行くのかも分からない

波に漂う無様な姿は
いつか夢見た美しさだったかな
誰かが描いた僕の正体は
こんなにも巨大な怪物だったんだ
誰も知らない夜は
きっと何処までも深く、冷たい

全部君のせいだ
空に煌めく星々のせいだ
暗い海で眠っていた僕には
あまりに眩しすぎる光だった
戯れに手を伸ばしたら
思いの外近く触れてしまった
全部知ってしまった、そのせいだ

波に濡れて光る珊瑚に腰掛けて
君は今日も残酷な歌を奏で
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