灰色ダンス/千波 一也
 


どんなに優秀なものも
優秀ではないものも
燃されてしまえば
灰になる

どんなに貴重なものも
貴重ではないものも
燃されてしまえば
灰になる

風に従順な踊り子となって
意志なき舞は白やら黒やら
懐かしげに孕んでみせる

勢いさかんな紅蓮の炎も
消え入りそうな小さな灯りも
尽きてはいない、という一点でのみ
わかり合える踊り子

灰色ダンスは
亡者のダンス、骸のダンス
他人の意志に運ばれるしかすべのない
おそろしい終焉

ならば
受け身の能とて捨ておけぬ
一方通行とて愛でられよう
まだ燃え尽きていないのならば








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