幻宮城/
織部桐二郎
訪なへるものとてなくも幽闇に微光充ちたり蒼き花苑 あひ見んとかね言交はすあて人の姿うたひぬ幻の果て 新月のみやこをまとふ夜会服假面妖しきとつ國のひと いくたびか君がかたへに華やげる夢にさまよふ街の果てたり 鐘とよむ西洋館に至急報玄き衣の影とけ去りぬ 月濡れて告げざるままのしぬび言影やおぼろにけれんの魔香
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