池袋 二十歳/馬野ミキ
 
雑司が谷のアパートを追い出された当時二十歳の俺は
池袋の東口で路上生活をしていた
今のタクシー乗り場付近には花壇と
その花壇を取り囲むように丁度ルンペンたち横になれるコンクリートのベンチがあった
俺は二十歳になったからには何かやらなくてはと池袋を裸足で歩いていた
もちろん恥ずかしい
だがこの恥ずかしさを乗り越えなければならないというよく分からない義務感のようなものがあった
そして猫を連れていた
裸足で猫を連れてギターを持つ青年か 今思うと我ながら感慨深いというか痛い
池袋の路上で数時間歌えば3000円とか5000円にはなったので生活の苦しみはなかった
稼いだお金を毎日銀行に貯金
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