不等号記号 など四篇/クナリ
 

一人が飼っているという、黒猫のイラストだった。
それを皮切りに、三人はイラストを送り合った。
マンガのキャラだのゲームの主人公だのオリキャラだの。
当然私は親に即バレし、恥ずかしい思いをしたがその辺でもう開き直った。
アンタに来る絵のせいでインクがすぐ無くなる、よく母に怒られた。
そんなに絵をやり取りしたかったらPCからメールで送ればいいじゃないのと言われ、
「ですよねえ……ごもっともで、ぐうの音も出ませんのう……」
と思った。
FAXから出力されてくるコピー用紙は、いつも熱を持って温かかった。
冷え性なので、メールも温かければいいのにな、と時折思う。

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