不等号記号 など四篇/クナリ
<カレンダ・メッセージ>
十一か月前に
落書きしたのは
十二月のカレンダの裏へ
何と書いたか
思い出せずに
痛痒の中で
きみと過ごす一年の終わり。
<しおり>
僕が本を好きだということは僕の周囲にはよく知れ渡っていたので、色んな人が色んな本を勧めてくれた。
それがあまりに頻繁なので、どの本をどの人が勧めてくれたのかを失念してしまうことが増えた。
そこで、一冊につき一枚しおりを用意して、そこへ勧めてくれた人の名前を書くようにした。
これが非常にうまくいき、お礼を言うのがずいぶん楽になった。
本を読み終えた後のしおりは、机の引き出しの中
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