告白/吉岡孝次
1.
ほんとうは傷めていない膝をもてあましながら
ジーンズだけは新しく履きかえたクリスマス
この街の密度を写した覇気のない家電量販店で
僕は一人の少女を盗み見てしまう
***
「スノーホワイト」は僭称ではないのか
だが少女はそんな些事には拘泥しない
***
ディスプレイに何か打ち込もうとしているようだ
短めの髪
ダッフルコートは 暖かな白
***
僕はさっきまでどうしていたんだろう
眠っていたわけでもなければ
死んでいたわけでもないのに
声も知らない十幾つの 娘 の専心に
唐突に 人生の答えを直視してしまった
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