全員が敵/千波 一也
 

わたしの総てを
受け容れるだなんて
わたしにも出来ないことだわ

だから、
わたしの総てを
受け容れてくれる人なんて
いるわけがないと思うのよ

わたしの
些細な何かをひとつでも
喜んでもらえたら幸せよね
誉めてもらえたら幸せよね
認めてもらえたら幸せよね

ほんの些細なことだけで
わたしは十分に幸せなのに
ひとつを受け容れてもらえたら
もうひとつ、もうふたつ、と
許してもらいたくなっちゃうの

もしもそれが
叶わないときには
わたしはうんと憎んでしまう
嫌いにもなる
恨みもする

そんな馬鹿なわたしだけどね
世の中の全員が敵、だなんて考
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