潜る/凍月
林檎の台座を支える手二本の弾頭中央には断頭台断ずる為に非ず狂気と恐怖により確立する処刑具手首を繋いで捕獲する悪意の結晶手榴弾二つ時計が一つ差す時間は六時悪魔の数字倒された砂時計もう動かない鎖で繋がれた手錠は束縛を二つの弾丸と南京錠すなわち凶器と拒絶の証六本指の手は理の外に逆さまの幾何学的な神背徳かつ冒涜背骨という我等の柱肋骨の中の心臓檻と命絞首台裁きと恐怖二本の鉈肉を斬る道具イニシャルと死の数字四回叫べ安らかに眠れ安らかに眠れ骨盤支える物それに刺さる剣貫くもの交差する黒い刃灯を刈り取る鍵ただし合致する鍵穴は無い百足と蠅死と悪と恐怖と闇そして骸骨骨盤よりも下にあり無表情に笑う死体のように重いそれをずらし中を覗けばあるだろう更に下へと続く階段灯りなど無い光ならあるが希望は無い棺の中にいるとはつまり死んでいる人間これより先は混沌の世界そんな予感が背筋を凍らせ足を留まらせ呼吸と鼓動と思考すら止めしかし自分は何の為にここに居るのか何の為に来たのか足を踏み入れて進んでしまおう四分の一のその奥へ水面の下の氷山へ階段を一歩ずつ乾いた音が下へゆく崩れゆき生まれゆく階段を降りる暗い世界で聞こえる自分の叫び
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