とべない鳥/朧月
つばめのこはへびにたべられてしまった
もうすぐ
もうすぐとべるねと
にんげんが親鳥が見守る中
すきをねらったへびが
一羽のこらずたべてしまった
巣の中には
むしられた雛の羽が
あちらこちらにのびて
雛の希望のかたちを残している
へびはその家の守り神なんだよ
祖父の声を思い出す
家のルールそのものだった祖父のことを
だれよりも嫌いだった私は
へびもまた嫌いであった
雛は生きていればどこまでとんでゆけたのだろう
遠くの空をみあげながら
私は私の足元を
注意深く歩くしかなかった
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