放熱/ベンジャミン
 
ため息を薄めた空気を吐き出せば
白くけむった現実が儚く揺れる

滅んでゆく世界が急激に収縮すると
必至にしがみつかなければ吸い込まれてしまう

その前に見えた
一瞬の閃光を書きとどめるために
生きた熱を放つ

そのときだけは
まるで美しさの一部であるかのような
鉛色の自分が
その身を焦がして紙に焼きつくのだ

激しく炎をあげて

そのときだけは
灰にならずに燃え尽きることができる







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