小屋/草野大悟2
毎年、元日の午後七時になると、その男は現れる。
女が、ステージでうつ伏せになるのを見計らって添い寝し、白い尻を軽く噛んだあとペニスを突き立て、激しく腰を動かす。
激しく、激しく、動かされていた腰は、男が、放精する鮭のように大きく口を開けた瞬間、ピタリとその動きを止める。
そのあと、男は立ち上がって正面を向き、砂に埋もれたあの「ゴヤの犬」の目をして僕を見上げ、紺色のジャージを膝まで下ろしたまま、すーっ、とステージの袖に消えてゆく。ペニスは勃起したままで、男が射精していないことが分かる。
男が、この小屋に来るようになってもう五年になる。
いつもうす汚れた紺色のジャージを着、泥
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