海を選ぶ。/永乃ゆち
 

海を見渡すと
決まって悲しくなる。

波の音が
泣き声に聞こえるから。

砂の色が
灰の中のようだから。

けれど私は海を選ぶ。

波の音も。
砂の色も。

ただ広い海は
総てを飲み込んで
私は許されたような気持ちになる。

散り際に
私は海を選ぶ。

私は海を

選ぶ。



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