部屋掃除/まーつん
 

 人を傷つけて
 悔やまずに済む

 そうして
 汚れていくんだ
 この部屋のように

 投げっぱなしの請求書が
 良心に支払いを求めている

 曇った窓ガラスが
 澄んだ目で世界を見ろと
 促してくる

 それで
 俺は財布を軽くして
 生きるための借りを返し
 雑巾を絞って、窓を拭きあげる

 その背中を撫でる
 微かな声音

 押入れの奥に突っ込んだ
 少年の日のガンプラが
 身動きもならず
 泣いている

 僕を見捨てないで、と
 子供の声で、泣いている

 握りしめた
 ビームライフルを
 手放すことも、ないままに

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