ゆりの花、いちじくの実/犬大好き
 
た。

あなたはゆりの花みたいに深く、がっくりと首を折り曲げて、
またひとつ重いためいきをつく。

わたしたちは帰らないひとのことなんてさっさとあきらめて、
いっそグーで殴り合えばよかったのだ。

ふたりがこんな風にだまりこんで、
なにも言い出せなくなる前に。

秘密を知られている
そう思われるフシがたびたびあった。

あなたの植物でいっぱいのこの部屋に、夜はとろとろ横たわり
窓のそとには雨粒が落ちはじめた。

庭のかたすみにひっそりと咲く
ゆりの花にも落ちはじめた。

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