見知らぬ人の願い/ichirou
ショッピングモールで
娘たちと七夕の願い事を短冊に書き
楽しんでいると
ふと目に飛び込む
誰かが書いた短冊
もう二度とこの世に
生まれて来ませんように
見知らぬ人の願い
娘たちは悪ふざけな短冊だと笑う
その願いは丁寧に綺麗な文字で書かれていた
単身赴任先に帰る途中
圏央道のトンネルで短冊のことを思い出す
気が滅入る
何も私が滅入ることはない
見知らぬ人の願い事ではないか
所詮星も見えぬショッピングモールの中の七夕だ
その見知らぬ人はちょっと疲れていたのだ
いや一度の人生を完全燃焼しているからだ
もしかすると今が幸せ過ぎて
これ以上素晴らしい人生がないからかもしれない
こんな想像は無意味なのはわかっているが
見知らぬ人のあの願いの意味を知りたい
今夜も
きっと星は見えない
そんな夜でも星は
あの見知らぬ人の願いを
叶えるのだろうか
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