扉の前のエロスに捧げるソネット?/Giton
数々の錯誤、慢性化した懈怠を重ね
喘ぎ声も信じられなくなった幾年かを過ごしてしまったあとでは
すっかり疑い深くなってしまったシーツを洗い更えたくらいでは何も変らず
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それら投げ合う言葉のあいまいさをかいくぐり
ぼくの欲望を彼の、また彼の身体(からだ)につなげようとするうちに
もやにくすぶる鏡は海の日没を映し出して茜色‥
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かつて知った感覚は脚と脚とのはざまにメルヘンを涌きたたせ
紅葉の木々を描いた深鉢の底、あの水面をぱさぱさと踏みわたり
睡蓮のはなびらはあなたのまわりにあふれ
跳ね上がったしぶきはぼくをぐっしょりとぬらしているのに
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いつかぼく
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