なんでもいいから尖ったものをかせ/れつら
 

なんでもいいから尖ったものを突き刺してこれを止めたい
湿度はぐんぐん上がっていく
風を入れ替えようと夏で
この国はいつからかこんなにもへばりつくよう
皮膚と空気のわかれめがない
なんでもいいから尖ったものを用意して
突き刺す先がないので板を貼り付けて
マジックで、極太のマジックが細いので何度も書き重ねて
いく言葉が見当たらなくて、下書きを
するための紙がコーヒーの
座ったまま飲み重ねたコーヒーの、
跡がついている紙は白いとは言えない
その紙をわたしは縫う
針と糸で縫う
やぶれても構わないので、針で
太さもなんでもいい細くてもかまわないので
百円均一の店に行って
裁縫セットを買う
105円払うことを
忘れてポケットにしまう
そうして肌に張り付いて
張り付いた肌のなかでも
いちばん骨が突き出たところで
わたしはこの国を殴る
この国といってもこの部屋の空気だ
隣人に泣かれないように
ゆっくり静かにわたしは殴る
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