人へ/葉leaf
 


〈絶望の襞〉
導く光を見失ったとき辺りは闇に思えるかもしれない。
振り返れば燦々と輝く物があっても振り返る体を失ってしまった。
絶望が楽で心地よいのは何も待たなくていいから。
人はあらゆる美しいものを待ち過ぎている。
待つことをやめて前に進むこともやめて受動も能動も捨て去ると水の匂いがする

〈私には何にもないから〉
あなたは沢山のものを持っているのだがその重量が消えてしまった。
沢山のものを投げ棄てるためにそんなことを言うんだ。
いや、持っているもののどれ一つにも価値を見いだせないのかも。
その欠如は夜を呼んでいる。
夜があなたを余すことなく包み無という美酒があなたを酔わせる
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