口下手太郎/栗山透
同じような書き出しはもう飽きた
亀の甲羅を水槽で見つけたとき
ぬっと頭が出てくるのだろうと 想像がつくように
君がペンを握ると すぐに結末が見える
一小節目のコードが鳴った途端に
八小節目のコードが分かってしまうみたいに
すぐ終わりの音が聴こえる
でも、きのうの君の質問は 全くの予想外だった
亀の甲羅からウィンナーが出るくらい 驚いた
僕は正しく答えようとしたけれど
こういう時に適切な言葉が出てこないことは
充分すぎるほど分かっている
たいてい何日か経ってから答えらしきものを知るのだ
壁の向こうのスーツ姿の人たちは
会社の女性社員の話をしている
「仕事
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