折畳まれた日録 (十)/信天翁
 
  口喧嘩はない 無駄話さえもない 
 老耄はおひとりさまのにぶい暮らし
 庭隅のどうだんつつじは色艶褪せて
   早苗月の倦怠を匂わせ漂わせる

    独り言は虚しげにこだまする

   先哲女性詩人のアンソロジーで
      生きがいの糸を紡ごうか
それとも リモースの夢路に描こうか
  自分に発破を掛けてくれるひとを

あゝ 久し振りに子雀が囀ってくれた
      裏庭の柿の青葉のかげで 
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