残業/葉leaf
 

会社と自分との契約のつじつまが新しく噛み合う音を聞く
契約など秒の数だけ存在しては死んでいく映像のようなもの
新しい映像の中で社会としっかり手をつないだ僕は
仕事が真に自分の所有物となったことに気付く
仕事を共有から個人所有に戻すには残業の手続きが必要だ
自分だけの仕事を自分だけで行う独占によって
組織の網と輪から外れた無軌道の無方向
やがて翌朝になれば
空へと放った疲労が都合よく落ちてきて直撃する
ゲームの開始と共に空に蹴り上げた疲労が直撃して僕を地に倒す
僕はやはり有限な泉であって
泉が枯れたあとも幻想の水を飲み続ける美しい残業は
泉に亀裂を走らせ水源を汚染し
その喜びの代償に水を通じた自己とのコミュニケーションを破壊する

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