残業/葉leaf
 



僕という泉の湧き水の量は一定のはずで
僕は泉の水をちょうど飲み干すことで毎日を生きているが
それ以上の水が必要とされるとき
仕事の熱量が僕をさらに引き延ばしていき
もはや水ではなく自らの乾いた青空のようなもの
そういう遠くで燃えているものに引き連れられて
残業は硬い喜びの芽とともに始まる
仕事は自分のプライドと存在を賭けたゲームだ
生きることと死ぬことの魅惑に最も近く
勝つことも負けることも僕を深く穿つ依存性のゲームだ
一人ずつ退社していくのを優越感のまなざしで見送る
社会は仕事が織りなす巨大な細胞で
その細胞の一つの器官として肥大していく増長の快楽に浸り

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