「先生 お弁当わすれました。」/蒼木りん
 
かったが

他の子は

先生にもらった100円を握り締め

楽しそうに校外のお店屋さんに買いに行く

ジャムとマーガリンをぬってもらった食パンを

わたしは情けなさで楽しくなんかなれない

ひとりとぼとぼ

パンを買いに校庭を歩く悲しさ

みんなに見られていると思う恥ずかしさ

二度とお弁当を忘れないと誓うが

次の週も忘れてしまう

先生に言いたくないので

「お腹が痛いから食べない」

聞かれたら

そう言おうと考えて机に顔を伏せる

でも

先生にもみんなにも忘れたことがバレていて

けっきょく

また買いに行くことになる

とぼとぼ

とぼとぼ..


お昼は

校庭も街も静かだ


トンボになりてー

と思った




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