「先生 お弁当わすれました。」/蒼木りん
 
土曜日も学校があった頃の話

お弁当だった

わたしはよくお弁当を忘れた

作ってもらえなかったのではなく

わたしが忘れて学校に行くのだ

姉はちゃんと持っていく

姉はおかずも作るからまちがいない

わたしは学校に着てからお弁当を忘れたのに気がつく

家から学校まで3Kmあるので

当時は

免許もなく

歩いて会社に行く母が届けてくれるはずもない

お昼になって先生に言うと

男のその先生は呆れ顔で100円をわたしに渡す

いま思えば

その100円を先生に返した記憶がない

お弁当を忘れるのは

わたし一人だけでではなかっ
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