駅舎にて/アンドリュウ
町の外れの寂れた駅舎で
ベンチに座って
夕陽を眺めていた
母になれなかった女と
子犬を産めない犬と
それと女の連れの老人と
老人は抜き身の小柄を手にしていた
けれど今は病んで衰弱していた
女は常に老人を気遣っていた
年老いた犬は寝てばかりいた
生まれてから誰一人噛んだ事がなかった
駅の前の線路にはレールがなかった
枕木もところどころ盗まれていた
三人と一匹は
来る筈のない電車を待っていた
西の空を茜色に染めて
日が暮れるには
まだ間がある
柔らかな風の中を
鳥たちが森へ帰るのが見えた
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