蛍光コオロギ/
うみこ
寒気の中で鳴いている
冷静さなんていらない
出会ったばかりの赤腹と
交わした話
暗い土の部屋
蛍のランプ
一夜限りの輝きは
蛍光色の陰影
爪のない手に触れている
毛の無い体に触れている
まるで小さな虫カゴに
閉じ込められたようだった
一夜外に出てみたら
満点の星空に
藍の塗料があふれて
私の背中を怪しげに彩った
交差点までの落葉樹に故郷の香りがあった
美しく舞うのなら
悲しみはそのそばにあるだろう
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