僕らが首を吊る理由 / 鎖骨/クナリ
と
自分も膝まで沼につかりながら
僕とは真逆の笑い方をしている人に
出会えたことは
偶然だったのだろうか
ようやく自分の手が
少し大きくなったから
僕を助けてくれた人を助けようと
あなたを見つめてみたなら
目を背けたくなるような傷の刻まれたあなたの背中
目を背けたくなるような大鎌から逃げようともしない視線
こんなにも救いたいのに
手を差し出すことすらできないほどの
巨大な断絶を生み出していたのは
僕の
性別という
本質たる性質だった
何を言って
何を渡して
どこへ導こうとしても
異性である限り無理があり
異性である限り越えられない
自分よ
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