靴/もっぷ
気紛れお月さま
願いを聴いて
十七夜月に囁いてみる
星が流れぬ晩だから
お月さまに縋ってみたくなる
ここは深閑とした或る湖畔
周りに誰もいないはず
わたしはそっと手のひらを
クリスチャン式に組んでみる
やがて 頼りのお月さまも
見えなくなった真っ暗闇
さあて これからどうしよう
家出娘が考える
そうよ
わたし 出てきたの
二度と帰らぬつもりなの
キット探されないだろう
それも きちんとわかっています
ああ この夜が終わったら
わたし 仕事を探しましょう
わたし 住むとこ探しましょう
けれども たぶん挫折して
橋にこの靴 脱ぎ捨てるでしょう
***
二〇〇九年一〇月三〇日
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