「ささくれ」/桐ヶ谷忍
 
今日も誰とも口をきかなかった
一日が終わるころ
帰宅したあなたが
ささくれの出来た指に唇を寄せ
舐めてくれる

チクチクした少しの痛みと
往復する濡れた舌のやわらかさ

やがてふやけて
ささくれが取れる

みつめあって
ほほえむ

明日もあなたの帰りを待っていられる

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