怖い人/葉leaf
怖い人よ
あなたの視線はどこまでも遠く通っていき
あなたの声はどんな棘でも受け止める
水よりもさらに率先して低い位置へと流れる
怖い人よ
社会から一斉に降ってくる硬い種を見事に発芽させ
また社会の空へと綿毛を飛ばしていく
そして僕の分化していないまっさらな塊に
少しずつ筋を入れる手際が上手で
決して心の海を荒らさず
高い山並みをなしてもその高さを誇らない
怖い人よ
なぜあなたがそこまで怖いのか
とても優しく美しく柔らかい花のようなあなたを
なぜ怖いと言わねばならないのか
僕は完璧な人格に畏敬しているのか
あるいはあなたの際限ない力に圧倒されているのか
もしかしたらあなたは
とんでもなく強固な意志で貫かれているのかもしれない
僕からとても近い怖い人よ
あなたの柔らかい襞の中心を貫いている細くて折れない鋼鉄
あなたの優しい言葉を噴き出している活発な火口
それよりも
あなたの瞳を支配している揺るがない沈黙を
僕は恐れているのかもしれない
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