宮澤賢治に寄せて/嘉村奈緒
大好き、ここ。
この詩はすごく長い。うねってるみたい。溢れていて循環していて頭をがっしりと捕まれてるみたい。終わり方はこうなってます。
ああ わたくしはけつしてさうしませんでした
あいつがなくなつてからあとのよるひる
わたくしはただの一どたりと
あいつだけがいいとこに行けばいいと
さういのりはしなかつたとおもひます
最初読んだとき「?」て思いました。普通は妹がいいとこに行けばいいと「いのる」ものじゃないのだろうか、と。そしたら宮沢賢治は熱心な仏教徒だったようですね。なので「一人だけ」ではなくて「みんなが」という考えのもと、上のような書き方になったんだと。でも「お
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