一人の帰り道/クナリ
決まった道を 決まったように帰る
いなくてもいい自分
ならば 通らなくてもいい道
同じドアを今日も開ける
帰らなくてもいい家
ならば 置き去りの孤独
明日は何かいいことがあると
言い聞かせて眠っていた頃もある
今日の続きが明日なのだと
昨日から続く今日なのだと
誕生から続く鎖が
無くなる明日など無いのだと
見ない振りをしていた頃
それが正しかったと気付いた昨日
太陽の色を 覚えていない
月の明かりは 初めから色が無い
星はどれも 同じ光
水銀灯の色が違って見えるのは
まるで自分のようだから
誰か
誰か
誰か
誰でもいい
そんなはずは
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