落度/蒼木りん
 
「いらない」と言われた私は

人でありながら物だった

女でありながら

物として

「いる」とか 「いらない」の扱いをされる

その程度の存在だった

あなたの世界では罷り通る

ふつう


いまさら

そんなことを言う気にはならないけれど

私はずいぶんと

人を赦してきたものだと思う

ときには

この壁を蹴飛ばしてやろうか


あなたは

私に無いものを持っているだろうけれど

私は

あなたのような失敗はしない



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