アブサン/智鶴
夢の中まで追い掛ければ
見つけられると思っているの?
嘘、未来、願い
不安定なものばかり
抱えた膝にナイフで描いて
「誰にも見せない」
嘘ばかり奏でて
知っているわ
気にして欲しいの
分かるつもりでも
見慣れないふりして、ねぇ
鮮やかに消えた泡沫の貴方
華やかに描いた、妖精の私
ブランデーグラスと、碧色の嘘
ほら、銀色の匙が燃え上がるわ
夜中の未来は愛おしく見えて
遠いものは全て優しくて
手に入れれば見失うだけ
知っているから目を伏せるの
貴方のせいなら苦しくないから
寄り掛かるだけの全て
分かっていれば醜くないの
知っているつもりでも
汚さないで、ねぇ
見えない二人が寄る辺ない夜に
重ねた世界を美しいと歌う
銀の匙の上、嘘に火をつけて
グラスに渡すの
嘘みたいでしょう?
錆びた椅子の上、片膝抱えて
髪を握りしめ、記憶を殺すの
貴方は灰色、助けを乞いながら
私に縋るの
嘘みたいでしょう?
貴方に縋るの
醜いでしょう?
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