流れに立つ鳥/草野大悟2
 
立っていた 浅瀬のなかに
立っている 同じところに
立っているだろう 同じ顔して

流れに立つ鳥の名前は
知らない
でもそれが通常アオサギとよばれることは
知っている

彼だか 彼女だか を
見つめ続けていると
ぽんぽん、と右肩を叩く奴がいた

振り返った僕を
はじける笑顔のあのころの君が
見つめていた

あした
僕らの鳥が
どこへ飛んでゆこうとしているのかを
僕らは訊ねることはない

鳥が目指す空は
風という流れだと
とうの昔に
気づいているから

下弦の月が
不敵に笑う夕暮れ時
僕は流れに立つ鳥になって
あのころの君と遊ぶ





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