暮色/
織部桐二郎
手袋の忘られてあり
五月の駅に終列車過ぎ
暮れ果てて草の匂へる
誰かあるいらへのなくも
手袋をとりて見つむる
をみな……忘れ……
古りし駅もだせり
夜鳥ささやく新月や
ふと去りし想びと……
春野に遊ぶ束の間の……
まなかひの影にかたりつ
手袋に……口づけ……泪……。
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