どうでもいいことについて/ichirou
とうとう左手小指の爪半月が
消えた
何の不具合もない
誰も知らない私の体の変化
どうでもいいことだ
でも
こんなことでも
ずっと憶えている
自分にとって
どうでもいいことは
結局忘れられないということ
例えば
去年の6月にオオスカシバを見かけたとき
パンツいっちょのおっさんの妖精だと思ったことがそうだった
結局一年近く経っても忘れていない
年を食って大切なことを忘れるくせに
パンツいっちょのおっさんの妖精など
どうでもいいことを憶えている
こんな合理的じゃない
記憶の仕組みは
正に
どうでもいいことだ
そして
私の人生の2割強は
どうでもいいことが占めている
ところで
右手の小指の爪半月だが
あと0.5mmぐらい残ってる
どうでもいいことだが
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