お迎え/
山部 佳
降りしきる雨が
風を呼んだ土曜日
葉桜は揺れ
泥の上に、さくら模様
母は出かける支度
黄色い傘の用意をする
「どこ、行くんや?」と、尋ねたら
「さぁちゃんの小学校や」
咲子は中学2年生だ
「おばあちゃんったら、心配性なんやから」
妻は事も無げに答える
どこか遠い過去を見ている
穏やかな母の眼に
優しさだけが残っている
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