空想科学者の手紙/昏(ヤッカ)
今日は夕食を我慢して
分厚い科学の本を買いましたが
猫が空を飛ぶ現象も
勝手にテレビが出来上がる確率のことも
書いておりませんでしたので
拗ねてしまって
世界の進歩を遅らせることばかり考えていました。
それでも普段は真面目に研究しておりまして
最近は物質には(僕らには)
お互いに引き合う力があるのではと考えております。
とても素敵な仮説ですし、誰も知らない規定効果です。
授賞式には何を着ていこうかと
少し早い心配をしています。
科学はなにぶん無口なもので(君もいないので)
最近は私はいつも独り言を言っているようになってしまいます。
科学は(僕らの脳は)星のようなものです。
それが水の中に浮かんでいると考えてください。
どんなに美しい星か考えてください。
次の論文は君と連名出来たらいいと思っています。
誰かの代わりに本を読む仕事の募集は打ち切りましたが
(リオゼやライカ犬も申し込んだ安全な)
共著者や被験体はまだ募集していますよ。
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