外へ/
森川美咲
ざわざわ わあわあ きゃあきゃあ
大好きだったはずの空間がふいに
息苦しくなって逃げ出した
私が閉めた扉の向こうから漏れ聞こえる
いつもと変わらないざわめき
きゃあ… わあ… ざわ…
暗闇の中壁にもたれて耳を澄ます
満ちてくるのは安らかな気持ちと愛しさ
そこに溶けてるかすかな悲しみ
まだ戻れない
戻らない
あたたかい暗闇の隅っこで
膝を抱える
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